★★★★☆
初公開年月 2006/05/13
監督
森田芳光
出演
佐々木蔵之介
塚地武雅
常磐貴子
沢尻エリカ
北川景子
中島みゆき
+++ ストーリー +++
東京の下町のとあるマンション。30代の現在も仲良く同居を続ける間宮兄弟。兄・明信はビール会社の商品開発研究員。弟・徹信は小学校の校務員。そんな2人は、大好きなベイスターズの試合をスコアをつけながら熱心にテレビ観戦したり、山盛りのポップコーン片手にビデオ鑑賞したりと、しょっちゅう一緒に行動しては楽しく何不自由ない毎日を送っていた。そんなある日、2人はカレーパーティを企画、弟は同じ小学校の葛原依子先生を、兄は行きつけのビデオ店でバイトする女子大生・本間直美をそれぞれ招待することに成功するのだった。
ベストセラー作家・江國香織の同名小説を「家族ゲーム」「阿修羅のごとく」の森田芳光監督が映画化。主演はTVドラマ「離婚弁護士」の佐々木蔵之介とお笑いコンビ“ドランクドラゴン”の塚地武雅。
感想
兄弟のマンションは、まるでワンダーランドだ。夥しい数の蔵書が収納された幾つもの本棚。きちんとディスプレーされた、可愛いミニチュア電車のコレクション。模型飛行機、取り揃ったボードゲームの数々。しかし、そこにオタク染みた暗さや、自分の世界に引きこもりがちといったネガティブな雰囲気はない。何しろ二人は、堅実な職業を持つ立派な社会人なのだ。好きなことや好きな物に囲まれ、常識的でとても仲の良い兄弟が一緒に住んでいる。ただ、二人の恋は失恋続きのようだが、下手に結婚して生活に追われるより、そんな暮らし方の方がずっと贅沢なのではないだろうか。
「来ちゃった」といって、塚地演じる弟の職場である小学校にふらりとやって来て、校務員室の窓越しに、束の間取りとめのない話をするバイト女子大生の妹。終盤近く、この人だと決めた人に失恋したと語る塚地に、これは「友情の抱擁だよ」と言いなぐさめる妹。そんな距離感と屈託の無さが心地よい。
弟が、失恋したときいつも新幹線を見にやって来る大井車両基地。そこから、兄弟でマンションに帰る途中に自転車で通る夜の銀座や芝の風景が、近頃めっきり足が遠のいてしまったそんなエリアの記憶を呼び覚まし、何だかとても懐かしかった。
見終わった後、可笑しくも暖かい兄弟愛にほのぼのとする映画です。